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Music
2025/8/5
8分

AI音楽時代の作曲者として - クリエイターの視点から

AI音楽クリエイター音楽業界創造性

AI音楽生成技術が急速に発達する中、実際に音楽制作を行う作曲者として感じる率直な想いと、 音楽業界全体への影響について考察します。技術の進歩と人間の創造性の関係を、じゅんち8フェリシアとして活動する経験を通じて語ります。

AI音楽生成の現状

2024年から2025年にかけて、AI音楽生成技術は驚異的な進歩を遂げました。 わずか数分で楽曲を生成できるツールが登場し、一般の人でも簡単に「作曲」できるようになっています。

🤖 AI音楽生成の特徴

  • スピード: 数分で完成した楽曲を生成
  • アクセシビリティ: 音楽知識がなくても「作曲」可能
  • 多様性: あらゆるジャンルに対応
  • コスト効率: 従来の制作費用を大幅削減

作曲者として感じる現実

実際にAI音楽生成ツールを使ってみた経験から、正直な感想を述べたいと思います。

🎯 AIの強み

✅ 驚いたポイント

  • • 楽曲の構成力(イントロ→Aメロ→サビ)
  • • ジャンルの特徴を的確に捉える能力
  • • 意外性のあるメロディー展開
  • • プロ品質のミックス・マスタリング

⚠️ 限界を感じるポイント

  • • 歌詞の深みや一貫性の不足
  • • 同じような展開パターンの繰り返し
  • • 個性や「らしさ」の欠如
  • • 意図的な音楽的メッセージの不在

🎭 アーティスト名義による違い

じゅんち8とフェリシアという2つの異なる音楽性でAI生成を試した結果、興味深い発見がありました。

じゅんち8 での検証

ジャンル: エレクトロニック、ダンス、実験的

AIはパターンを学習するのが得意なため、確立されたダンスミュージックの型にはまりやすい。 一方で、実験的な要素や「意外性」を求めるじゅんち8の音楽性には、 まだAIだけでは表現しきれない部分を感じました。

フェリシア での検証

ジャンル: J-POP、シンセポップ、キャッチー

ポップスの王道パターンについては、AIの生成品質は驚くほど高い。 キャッチーなメロディーや聴きやすいアレンジは得意分野と言えます。 ただし、「心に響く歌詞」や「個人的な体験に基づく表現」は、まだ人間にしかできないと感じます。

人間の創造性の価値とは

AI技術の急速な発展を目の当たりにして、改めて考えさせられたのは「人間が音楽を作る意味」についてです。

💡 人間だけが持つもの

🎨 創造性の源泉

体験と感情
  • • 個人的な失恋、成功、挫折
  • • 文化的背景とアイデンティティ
  • • 瞬間的なインスピレーション
  • • 他者との関係性から生まれる感情
意図とメッセージ
  • • 社会に対する問題意識
  • • 聴き手に伝えたい特定の想い
  • • 音楽を通じた哲学や世界観
  • • 時代性を反映した表現

🤝 協働の可能性

AIを脅威として捉えるのではなく、創造的なパートナーとして活用する方法を模索することが重要だと考えています。

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スケッチツールとして

アイデアの初期段階で、AIを使って大まかな楽曲の骨格を作成。 その後、人間が感情や意図を込めて肉付けしていく。

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インスピレーション源として

思いもよらないメロディーラインやハーモニーの組み合わせを発見し、 それを出発点に人間らしい表現を加えていく。

効率化ツールとして

楽曲制作の技術的な部分(ミックス、マスタリング)をAIに任せ、 クリエイターはより創造的な部分に集中する。

音楽業界への影響と未来

AI音楽生成技術は、音楽業界全体に大きな変化をもたらすことは間違いありません。 しかし、その変化は必ずしも「人間の音楽家の終焉」を意味するものではないと考えています。

📈 予想される変化

短期的な影響(1-3年)

  • • BGM・効果音制作市場の変化
  • • デモ制作・プリプロダクションの効率化
  • • 音楽教育への影響(楽典の重要性低下?)
  • • 著作権・権利関係の複雑化

長期的な変化(5-10年)

  • • アーティストの役割の再定義
  • • ライブパフォーマンスの価値向上
  • • 「人間らしさ」の希少価値化
  • • 新しい音楽体験の創出

🎪 ライブ体験の重要性

AI が楽曲制作において人間に近づくほど、逆に「生身の人間による表現」の価値が際立つのではないでしょうか。

🎤 AIにはできないこと

  • 観客との瞬間的なコミュニケーション
  • その日、その場所でしか生まれない表現
  • パフォーマーの人間性に触れる体験
  • 共感と感動を分かち合う空間の創造

クリエイターとしての姿勢

AI音楽生成技術の発展を受けて、私自身が大切にしたいと思う姿勢について述べたいと思います。

🌱 学び続ける姿勢

技術への理解を深める

AI技術を恐れるのではなく、その仕組みや可能性を理解し、 自分の創作活動にどう活かせるかを模索し続けたいと思います。

人間らしさを磨く

AIでは表現できない人間の体験、感情、哲学を音楽に込める能力を、 これまで以上に大切にしていきたいと考えています。

聴き手とのつながりを重視する

音楽を通じて人と人がつながり、共感し、感動を分かち合えるような 作品作りを心がけていきたいと思います。

最後に - 音楽の本質について

AI音楽生成技術の登場により、改めて「音楽とは何か」について考える機会を得られました。

音楽は「技術」である前に「コミュニケーション」

どれほど技術が進歩しても、音楽の本質は人と人とのコミュニケーションにあると信じています。 作り手の想いが聴き手の心に届き、そこに共感や感動が生まれる。 この人間的な体験こそが、音楽の最も大切な価値だと思うのです。

AI技術の発展は止まることはありません。しかし、それは人間の創造性を脅かすものではなく、 むしろ新しい表現の可能性を開いてくれるツールになり得ると考えています。

じゅんち8として、フェリシアとして、これからも人間らしい音楽を作り続けながら、 同時に新しい技術との共存の方法を探っていきたいと思います。 音楽を愛するすべての人にとって、より豊かで多様な音楽体験が生まれる未来を信じて。

私の音楽活動については、じゅんち8フェリシアのページでより詳しく紹介しています。 また、技術と創造性の融合についてはLovateプロジェクトでも実践しています。